Asena
冬もいよいよ本格化してますね。バージンココナッツオイルは真っ白に固まっていますが、フィジーのバージンココナッツオイルづくりの第3回をお送りします。
この一回目と二回目はこちらをクリック
第2回目の最後は、ココナッツミルクを濾したところでおわっていました。このココナッツミルクを絞った後のココナッツの搾りかすはここからもう少しクッキング用オイルを絞りだして、なるだけ脂肪分を抽出したら家畜のえさになっています。
photo:しっかり絞った後の絞りかすはマダマダ栄養たっぷり。
ココナッツはTree of Life(生命の木)とよばれ、捨てるところはありません。何千年もの間、人の暮らしを支えてきたこの植物が秘めた力を持っているのは自然環境との闘いのなかで発達させた自然の摂理なのでしょうね。搾りかすは家畜のえさ、ココナッツの胚乳を削った後の半球の形の殻は燃料として使用されます。
photo:しっかり絞ったらコンテナにいれてこのまま発酵に入ります。このまま飲みたい!!
ココナッツミルクはそのままでは脂肪分と水分が融合したままですので、放置しても脂肪分は分離してきません。ココナッツそれ自体に由来する発酵菌や製造する環境の中にいる発酵を促す菌たちが作用して、保温するだけ(毛布をかけるだけ)で自発的に発酵を始めます。
日本酒やお味噌のように、麹菌をまぜるということはなく、カカオ豆やワインづくりのようにそこにある菌がうまく働くことにより発酵後の出来栄えが左右する為、だれがこのオイルを作っているか、またどの場所で作られているかというのも重要になってきます。
ここが発酵法で作られるバージンココナッツオイルの秘密の部分のひとつです。
photo:自然の力を活用して自分の感覚をフルにつかうアセーナおばさんのオイルづくり。自然と神への感謝、良いものを追求する感性、原材料や製造法についていつも学ぶ姿勢と改善への努力などなど、彼女の仕事は大変にレスペクトに値するものです。
さて、ダンボール紙の上におき、毛布をかけて後24時間放置。。というプロセスを経た後、蓋をあけると。。
こんなふうになっています。
第1層目はボコボコっと発酵したあとの発酵物、その次の黒く見えている部分がオイルです。その下の部分は水分、そしてコンテナの一番底に、先ほど濾し切れなかったかすが落ちています。
ものすごく慎重にオイルの部分だけをすくいだし、その後紙フィルターで濾します。
はい、できあがりです。
アセーナおばさんは、夜中でもココナッツオイルの発酵が終了すると起きだしてなんどもフィルター作業をするそうです。最適な時間帯を逃したくないのだそうで、眠くないのかと尋ねると、眠くないし、楽しいよとニコニコしながら話してくれました。
この透明なオイルはこの後さらに水分を蒸発させ、屋外の紫外線に当てることによって殺菌を行います。
タンクにつめて、メーカーのPunjasに送られそこで丁寧にボトル詰めされて出荷されます。
現在、このオイルは大変な人気で、日本への出荷は特別に枠をもらっている状態です。私がさまざまなオイルを試してみた後にコレ、と決めたのはなによりもフレッシュな香り、さらっとしたテクスチャー、透明な色、食べたときの味、でした。
今回、アセーナおばさんが日本から来た正体不明な私をとても暖かく迎えて下さり、また撮影の準備も万端にしてくださり、とても感激しました。
フィジーとの取引を拡大し経済的サポートになればという思いで始めた事業ではありますが、毎回のごとく、現地の皆様の努力と暖かいお心によって支えられているのはむしろ私の方だと気づかされています。
厳選された材料、丁寧な手仕事と思いのつまったこのオイルが特別であるのはそういったストーリーにも隠された理由があるのかなと思いました。
アセーナおばさんが私のために準備してくれた超豪華なレイ。こんなレイみたことありません。白い部分はマングローブの皮をカールして作られています。黄色いお花はものすごく良い香りのフィジーのフランジパニです。宝物です。
以前ご紹介した、フィジーの村で完全非加熱バージンココナッツオイルを作っているアセーナおばさんのお仕事ご紹介の第2回目です。
第一回目はこちら。
削った生のココナッツの胚乳部分をぬるま湯とよく混ぜ込みます。この時の気温やぬるま湯の湯加減で発酵時間や程度が変わってくるので、アセーナおばさんの経験と感覚でうまく塩梅を決めます。アセーナおばさんは60代ですけど、腕は筋肉モリモリ、毎日元気で健康的です。同じ年齢の平均的なフィジー人女性よりもずっと若くてテキパキとした動きと、頭の回転の速さについて行けません。
よく混ぜ合わせたらしっかりと絞りココナッツミルクを作ります。
絞った後の果実からももう一度オイル絞りを行いますが、こちらはバージンココナッツオイルにはなりません。クッキング用オイル(加熱用)を作ります。
ココナッツミルクを丁寧に濾していきます。
このような丁寧な作業が最終のバージンココナッツオイルの質を左右して行きます。
フィジーのバージンココナッツオイルを加工しているアセーナおばさんの工場にお邪魔してきました。おばさんは、首都スバの近くにある村で非加熱発酵分離法で丁寧な手作りココナッツオイルを教会を中心とした村のコミュニティーにて行っています。
<photo: アセーナおばさんは現在61歳、孫といっしょに。しわもなくツヤツヤのお肌で元気いっぱい。バージンココナッツオイルを毎晩スプーン1杯飲むだけで元気よ!と教えてくれました。>
工場を作る以前は首都で公務員として33年間働いていたため、様々な情報やネットワークに精通しており、東南アジアのココナッツオイル製造現場などでも研修を積んでいて経験豊かな方です。そういった意味では普通の村で手作りされている素朴なココナッツオイルとは違った感覚でモノ作りを行っています。
まずは、製造工程をご紹介したいと思います。
特定の島から仕入れた良質のココナッツの実だけを厳選し、表面の汚れやひげを丁寧に取り除きます。ココナッツオイルの質はココナッツの実の質、処理の丁寧さで大きく左右されるため、こちらの加工場ではこのような時間のかかる作業も丁寧に行う事で良質のオイルを作る事ができています。
丁寧に処理されたココナッツを専用のナイフで二つ割りにします。中に芽が生えて来ているものは使用しません。ここで芽の生えているものを使用すると最終のオイルの質が悪くなります。二つ割りにした後は丁寧にグラインダーで一つ一つ削ります。
ココナッツはとても固いので、通常男性の仕事として行われます。
重くて固くて、大変な労働がかかりますので、手作りの丁寧な仕事で培われたプレミアムオイルは外国ではほとんど手に入りません。